県警は23日、7月1日~9月10日の夏山シーズンに県内で発生した山岳遭難の状況を発表した。発生件数は前年同期比で13件多い48件。遭難者数も同11人増の49人で、すべて首都圏など県外からの登山者だった。これにより、1月からの遭難発生件数は107件(前年同期は70件)、遭難者数は114人(同76人)で、いずれも統計が残る昭和40年以降で最悪に。早くも昨年1年間の発生件数と並んだ。県警は来月5日、東京都内で初の「山岳遭難防止キャンペーン」を行うなど県外登山者への啓発に力を入れる方針だ。
夏山シーズンに発生した48件は、全国ワースト4となった。死者は1人減の6人となったが、負傷者数は14人増の35人と大幅に増加した。
原因は滑落・転落が17件で最も多く、転倒15件、疲労・発病8件、道迷い5件も目立った。
県警は遭難増加の要因について「登山ブームで登山者が増え、例年より好天の日が多かったためではないか」と分析している。
夏山の遭難者のうち、40歳以上の中高年が約86%を占めた。また、男性が約67%だった。住居別では全員が県外で、約半数が首都圏からの登山者だった。
発生場所を山系別でみると、南アルプスが31件で全体の6割強を占め、八ケ岳・秩父(7件)、富士山・御坂(6件)などと続いた。登山届の提出率は約54%。前年を4ポイント上回った。
秋も、低山ハイキングなどで県内を訪れる中高年などが増えることから、県警は来月5日、東京都港区で行うキャンペーンで、元五輪競泳選手の萩原智子さんを「一日安全登山大使」に任命する。
当日は、萩原さんと県警山岳救助隊員とのトークショーなどを行い、山岳遭難防止について啓発する。
県警の細入浩幸生活安全部長は取材に対し、「従来の登山道や駅頭などに加え、今後も首都圏で啓発を継続していく必要がある」と話した。