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遺族に寄り添いサポート 遺品整理の代行サービス需要拡大 山梨

 ■依頼者6割は県外在住者

 故人の遺品整理の代行サービスへの需要が高まっている。遺族の多くは子供らで、思い出が詰まった品々の整理に踏み切れないほか、県外在住の子供も多く、自力で解決が難しいからだ。2年前に「遺品整理士」の資格を取得し、創業した山梨遺品整理センター(甲府市上町)の古元奈保美社長(32)は、「遺族に寄り添い、心の整理をサポートしています」と話す。(松田宗弘)

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 富士吉田市内の一戸建て住宅。同センターへ遺品整理を依頼した東京都在住の松浦千恵さん(32)は、作業日当日、作業現場で取材にこう答えた。

 「60代の父がこの実家で亡くなり2年近く。遺品の量が途方もなく、仕事も長く休めないのでお願いしました」

 残す遺品は父親の仏具、アルバムなどだが、処分に迷う物も。「業者さんに頼まなかったら何年もこのままかも」と松浦さん。古元社長は「私たちの役目は、踏み切れないお客さまの決心の後押し」と話す。

 依頼者の約60%は松浦さんのような県外在住者だ。一緒に遺品を整理する人、半日で帰る人がそれぞれ約4割。実家に来ずに同センターにすべて任せる人も約2割いる。「実家が遠い」「仕事が忙しい」「つらい」…などが理由という。

 スタッフは社長以下、パート含め7人。30代中心で全員が女性だ。「遺品整理は女性の方が細かい目配りがきくから」(古元社長)という。

 「依頼者が泣いて作業が止まれば『今日はやめますか』と声をかけ、つらくて『見たくない』といわれれば、その気持ちを共有します」(同)

 業務の流れは、(1)現地で見積もり(2)日を改めて遺品整理(2~3日)(3)処分するものは約10種に分別(4)リサイクル業者に渡す-だ。

 不要な贈答品はまとめて福祉施設へ寄付する。空き家の売却、賃貸、現状維持、解体などの処理も、提携業者と協力して請け負う。月5~8件の受注があり、1カ月先まで予約済みという。費用は広さによって6段階で、2LDKの場合は18万円から。

 遺品整理士は「遺品整理士認定協会」の民間資格。同協会によると、資格創設の平成23年から5年間で、有資格者は全国約1万人を突破し、県内では約100人。「核家族化や高齢化で遺品整理の需要は拡大しており、資格者も増えている」という。