「全力でイノベーションという強力なエンジンを作れ。自主イノベーションの新たな高地を築け」――。これは、新たな出発点に立った浦東に課せられた新たな任務だ。開発と開放が始まって30年の浦東にとっての新たな鍵となる動力として、イノベーションが今後の計画の中でとりわけ重要な地位を占めることは予想通りだ。なぜなら、イノベーションは中国が自らを科学技術強国にするという長期目標として脈々と受け継がれてきたものであり、科学技術の自立自強を国家発展の戦略的支柱として重要な位置に置くという第14次五カ年計画(十四五)建議とも合致するからだ。
浦東は今後とも、国際的な最前線を目指す。基礎的な研究での躍進を、より多くのオリジナルな科学技術のイノベーションに結びつけ、鍵となる核心的技術の分野での中国の大いなる躍進を支援する。浦東は引き続き、研究開発が産業化に至るルートづくりに力を発揮しつづけ、より多くの産業グループを形成し、成果を発展的に転換させる「高速車線」を切り開いていく。
科学技術のイノベーションにとって鍵となるのは人材だ。浦東が招き入れた人材の総数は現在、常住人口のおおむね4分の1である145万人に達している。伊藤忠(中国)集団有限公司の森常隆総経理は「浦東では、仕事に専念して安心して生活することができる」と述べている。
過去30年間にわたる浦東の発展の成果は、開放という環境の中で得られたものだ。これは将来も同じだ。自主的イノベーションは、扉を閉ざして行うイノベーションとは意味が違う。さらに高いレベルの改革開放が必要なのだ。浦東を、国内における大循環の中核となるハブであり、同時に国内経済と国際経済の二つの循環の戦略的接合地点にする。そのことで、全世界の科学技術イノベーションの新たな要素を結集し、中国の質の高い発展を支援する。そして、この地に結集した全世界のハイテク企業も、浦東という肥沃な科学技術の土壌からさらに多くの果実を得ることになる。