米国の中国語ニュースサイト、多維新聞の6日付報道によると、オーストラリアの全国農業者連盟(NFF)は、中国との貿易紛争と新型コロナウイルスのパンデミックに関連するサプライチェーンの混乱により、今後10年間で業界に280億米ドル(約2兆9500億円)の損失がもたらされる可能性があると警告しているという。
多維新聞が、英紙フィナンシャル・タイムズの5日付報道を引用して伝えたところによると、NFFは同日に発表された予算前の報告書で、輸出市場の多様化とサプライチェーンの改善を目的とした貿易戦略を支援するために35億豪ドル(約2800億円)を投資するよう政府に訴え、政府が支援を提供できない場合、2030年までに農場生産の年間価値を1000億豪ドルに引き上げるとする業界の目標は、貿易の混乱によって「深刻な課題」になるだろうと警告した。
NFFのトニー・マハール会長は、「最近の(中国との貿易中断の)混乱により、業界には10年間で369億豪ドルの費用がかかることになるだろう」としている。
ワイン製造業者のブルース・ティレル氏は、「中国政府による反ダンピング(不当廉売)関税が中国市場を事実上閉鎖した」とし、「中国はオーストラリアにとって最大かつ最も収益性の高い市場だったので、大きな打撃となっている。昨年7月に反ダンピング調査が開始されると、私たちはすぐに既存および新規の市場の開拓に着手した。だが中国に取って代わる市場はない」と話している。
一部の農業部門は、農産物の代替市場を見つけることに一定の成功を収めているが、アナリストによると、規模と収益性の大きい中国市場を失うことは依然として大きな懸念事項だ。