2021年2月7日、中国のニュースサイト・観察者網に「造れば造るほど損が出ているのに、どうして高速鉄道を造り続けるのか」とする記事が掲載された。
記事は、中国高速鉄道について海外からしばしば「純粋なお金と時間、資源の無駄遣い」というやゆが聞こえてくるとしたほか、「高速鉄道のチケット代は高額だが、それでもコストをカバーするには全く足りず、運行すればするほど赤字になる」との声も出ているとした。
その上で、中国高速鉄道の平均的な1キロ当たりのコストはおよそ1億元(約16億円)であるとし、2020年現在で中国には3万6000キロの高速鉄道路線が存在することから、現時点での中国の高速鉄道建設コストは3兆6000億元(約57兆6000億円)にものぼると説明。これに設備の調達、電力、物資、メンテナンス、人的資源などの各種コストを考慮すると、「やはりチケット代だけではコストを賄うことができないばかりか、大きな損を出すことになる」と解説している。
一方で、高速鉄道自体は建設すればするほど損が出る状態であるものの、高速鉄道の開通は周辺経済の発展を力強くけん引すると指摘。高速鉄道に1億元投資すると周辺都市の国内総生産(GDP)を1.8倍増加させるとの研究があり、2000億元(約3兆2000億円)余り投資した北京―上海高速鉄道の場合は周辺地域の経済に4000億元(約6兆4000億円)余りのGDPをもたらしたことになるとした。
また、高速鉄道の建設により、情報、機械、冶金、建築、ゴム、合成材料、電力などあらゆる産業に経済効果が生まれるほか、数多くの雇用を生み出すという点でも「その経済効果は非常に大きい」と説明。造れば造るほど損を出すが、それ以上の経済効果を生み出すからこそ高速鉄道の建設を続けているのだとの見解を示している。